駅案内ロボットはどのような背景で生まれたのですか?
オムロンはこれまで券売機や改札機などの駅務機器を提供してきました。昨今の労働力人口の減少もあり、駅係員様の負荷を軽減できないかと検討している中で、駅係員様の主な業務である「旅客応対」に着目し、駅案内ロボットを開発することとなりました。
巷にロボットやサイネージは多くあるのですが、駅という公共空間で使うことから、「誰もが簡単に使える」ことと、いかに現状の駅係員様が行っている「旅客応対」をサービスレベルを落とさず提供し、真に駅係員様の支援を行うかが鍵でした。
「旅客応対」は駅利用者のお困りごとを助けることですので、駅係員様に聞くような気軽さで、操作方法に悩んだりせずに、ヒトの主要なコミュニケーションである「対話」ができるロボットで解決したいと考えていました。
「対話」といっても「文字でのコミュニケーション」も考えられますが、もともと人が対応していた業務ですので、やはり最も伝えやすいコミュニケーション方法である「音声」で実現したいと考えました。
mimi®を選ばれたのはなぜですか?
各種機能がAPIで提供されている為、様々なシステムとの連携がしやすい点もそうでしたが、フェアリーデバイセズ社のmimi®はインバウンド対応を想定した多言語での音声認識をはじめ、翻訳機能や自動言語識別機能(利用者がしゃべった言語を自動で識別してくれる)もあり、自然な対話のためには対話者の音声の収集からテキストデータへの変換までシームレスに実行可能なこともポイントです。
また音声認識は「クリアな音声」であればその認識率も高まることは分かっていましたが、我々がロボットを設置する場所は「多くの人が行きかう雑踏環境」です。そのような場所でも「正確に音声を集音できるマイク」が必要でした。
ロボットのデザインを邪魔しない。
開発当初から様々なマイクでもテストしていたのですが、なにより、Tumblerの性能に驚いたのがきっかけです。そしてTumblerと同等の性能を持ち、わたしたちが実現しようとしている駅案内ロボットに最適な形で組込むことが可能なマイクが「T-02」でした。
私たちは利用者との自然な対話ができるようロボットのデザインにもこだわっていました。マイクだけが飛び出ていたり、お客様が「ここに向かってしゃべらなきゃ」と意識させてしまうデザインにはしたくありませんでしたので、まさに理想的でした。
そのような厳しい条件がある中で、「T-02」を使用することで「高い音声認識精度」を実現する事が出来ました。
フェアリーデバイセズ社が提供する機能は、集音から音声認識までシームレスに連携しているため、ロボット自体の開発や、応対のブラッシュアップに専念する事ができました。
多言語での音声認識。しかも自動で言語を識別してくれる。
2019年3月に京王井の頭線下北沢駅で稼働開始。その後もアップデートを続けています。当初は日本語だけの対応だったのですが、日本語に加え、英語、中国語、韓国語と複数言語への対応を実現しました。
さらに利用者が発話するだけで、話している言語を識別する、mimi®の自動言語識別機能も追加しています。これまでであれば「利用者が画面を操作し、使用する言語を選択」する必要がありましたが、そういった操作を不要とすることで、我々の目指す「人と人のコミュニケーションと変わらない応対」に着実に近づいているのです。
これはフェアリーデバイセズ社が提供する機能を早期に使用することで、他社に先駆けて実現できたことです。他社の追随があれども、フェアリーデバイセズ社と一緒に進めることで、必ず一歩先を行くことができました。
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今後、フェアリーデバイセズに期待すること。
通常、複数社が一緒になって進めるプロジェクトでは、各社が遠慮しあって前に進まないことが容易に想像できます。その中で、フェアリーデバイセズ社から忌憚のない意見を言っていただいたことは、まさに「人と人との対話」だったと思います。結果として会社の垣根を超えた良いチームが出来ました。
個人的にも、フェアリーデバイセズ社が目指している「使う人の心を温かくする一助となる技術開発」「人間と機械の新しい境界を創造する会社」という言葉に大変共感しています。
わたしたちが目指すものも同じで「人と機械の自然な対話」を目指して開発を進めています。
どこよりも早く「多言語」や「自動言語識別」に対応できたように、次はお客様の「態度変容」や「感情」といったものも読み取るような機能も期待されますので、フェアリーデバイセズ社の尖った技術力に注目しています。
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